100Ah のバッテリーと2000Wインバーターで1200Wのドライヤーが使えない原因と対策
「よし、これでIHヒーターやドライヤーが屋外でも使える!」
サブバッテリーシステムを構築して、意気込んでドライヤーを使おうとしたら、まさかの警告音・・・。
今回のブログ記事では、そんな「表示スペック的には使えるはずなのに、なぜか家電が使えない!」という、サブバッテリーシステムの構築で経験した失敗例とその原因、そして解決策の情報共有ができればと思います。
今回の事例は、100Ahのバッテリーと2000Wのインバーターを搭載したサブバッテリーシステムでの出来事です。
1200Wのドライヤーを使おうとした時、スペックだけを見ると、インバーターは2000Wまで出力できるし、ドライヤーは1200Wなので、余裕で使えるはずですよね。
しかし、実際に1200Wのドライヤーを使おうとすると・・・。
インバーターから警告音が鳴り響く!
バッテリーのモニターを確認すると、出力電力は1200Wを示しています。一方、インバーターのモニターでは、出力が1050Wにしかなっていません。
「ドライヤーは1200Wの電力を必要としているのに、インバーターからは1050Wしか出力されていない。でも、バッテリーからはちゃんと1280Wが出ている…一体何が原因なんだ?」
一度分解して、バッテリーとインバーターだけの最小構成で原因を探ることに。

目次
原因は「電力ロス」と「電圧降下」そして「変換効率」
この不可解な現象の裏には、サブバッテリーシステムを構築する上で見落としがちな「電力ロス」と「電圧降下」、そして「変換効率」という要因が隠されています。
配線による電力ロス
電気は、配線を流れる際にわずかな抵抗を受けます。この抵抗によって、電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、失われてしまう現象が「電力ロス」です。
今回のケースでは、バッテリーからインバーターまでの配線において、1200Wの電力が流れる際に電力ロスが発生し、インバーターに届くまでに電力が目減りしてしまったと考えられます。
電圧降下
電力ロスが起こると、配線抵抗によって電圧が低下する現象が起こります。これが「電圧降下」です。
インバーターは、入力された電圧を昇圧して交流100Vを出力する仕組みです。バッテリーからの電圧が低下すると、インバーターは正常に動作するために必要な電力を確保できず、出力が低下したり、保護機能が働いて警告音を鳴らしたりすることがあります。
インバーターの変換効率
バッテリーから供給されるのは直流(DC)電力ですが、家庭用の多くの電化製品は交流(AC)電力で動作します。そのため、インバーターを使ってDCからACに変換する必要があるのですが、この変換処理の過程で必ずエネルギーロスが発生します。
一般的なインバーターの変換効率の目安は80%~95%程度となっています。
バッテリーの出力能力にも注意!
配線による電力ロスの他に、バッテリー自体の出力能力も考慮する必要があります。
メーカーにより多少の誤差はありますが、100Ahのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーであれば、最大継続出力電力は1280W程になります。
つまり、変換効率95%のインバーターであっても、バッテリーからは1216W(最大継続出力電力1280W ×95%)までしか出力できないということになります。
今回の私の失敗は、配線による電力ロスと、インバーターの変換効率を考慮していなかったため、「ドライヤーは1200Wの電力を必要としているのに、インバーターからは1050Wしか出力されていない。しかも、バッテリーからは最大出力の1280Wが出ている…一体何が原因なんだ?」という失敗でした。
解決策:電力ロスと電圧降下を最小限に!
今回の事例を踏まえ、同様の失敗を防ぐための解決策をいくつかご紹介します。
配線を見直す
配線の太さを太くする: 配線が太いほど電気抵抗は小さくなり、電力ロスを抑えることができます。使用するインバーターの最大出力や、接続する家電の消費電力に合わせて、適切な太さの配線を選びましょう。
配線の長さを短くする: 配線が長いほど電気抵抗は大きくなるため、可能な限り配線の長さを短くすることが重要です。バッテリーとインバーターの設置場所を近づけるなどの工夫をしましょう。
高品質な配線と端子を使用する: 接触不良は抵抗を増やす原因となります。信頼できるメーカーの配線や、しっかりと接続できる端子を選びましょう。圧着工具なども適切に使用することが大切です。
出力能力の高いバッテリーに交換する
身も蓋もない話になってしまいますが、問題の根本的解決としては妥当な方法です。
容量の大きいバッテリーを選ぶ: より多くの電力を供給できる大容量のバッテリーを選択することで、安定した電力供給が可能になります。
複数のバッテリーを並列接続する: 同じ種類のバッテリーを並列接続することで、バッテリー全体の容量と出力能力を向上させることができます。ただし、並列接続には正しい知識と配線が必要です。
消費電力を抑える
こちらも、身も蓋もない話ですが、バッテリーやインバーターのスペックのギリギリで使用できる家電を避けることも大事です。
サブバッテリーで使用する家電は、できるだけ消費電力の低いものを選ぶようにしましょう。ドライヤーであれば、ワット数の低いものや、省エネタイプのものがおすすめです。
まとめ
サブバッテリーシステムの構築において、カタログスペックだけでなく、実際に電気が流れる際の配線による「電力ロス」や「電圧降下」、インバーターの「変換効率」を考慮することが重要です。
バッテリーの出力能力、インバーターの性能、そして配線の選定と取り回し。これらの要素を総合的に理解し、適切なシステムを構築することが大切です。
使いたい家電の定格出力(W) < バッテリーの出力(W) - 電力ロス(W)
個人的にはバッテリーやインバーター、走行充電器などは同じメーカーで統一することをお勧めします。私の場合はLiTimeの機器でサブバッテリーシステムを構築しています。
備忘記録的な余談
最終的にサブバッテリーシステム(LiTimeの100Ahバッテリーと2000Wインバーター)で定格出力1200Wのドライヤーを動かすことができました。
最初、ドライヤーを使うと警告音が鳴っていたのは、配線不良による電力ロスが大きすぎたことが要因だったようです。
サブバッテリーシステムの構成にバスバーを組み込んだことで配線の分岐が増え、自分(素人)が施工したケーブルや接続端子が増えたことで電気抵抗が大きくなり電力ロスが大きくなっていたようです。
将来的にバッテリーの追加(容量・出力を増やす)予定で2000Wのインバーターとその配線に38sqのケーブルを使ったのですが、ケーブルの切断工具や端子のカシメ機が38sqのケーブルに対応してなかったため、ワンサイズ小さな工具で無理やり施工をしていました。
ケーブルの切断は2度切り、24sqサイズのカシメ機で38sqを無理やりカシメ。
やはりこれが致命的だったようです。
工具を買い足して施工をやり直すと電力ロスが低減して、サブバッテリーシステムに組み込んだ状態でもドライヤーが使えるようになりました。
部材や工具は規定に合わせて正しく使わないといけないということを学んだ失敗でした。