大容量、高出力の電源が欲しくてリチウムイオンバッテリーと2000Wインバーターを選んだ理由
目次
はじめに
アウトドアでも電気を使うという贅沢をするためにポータブル電源は本当に便利です。
500Whクラスのポータブル電源があればスマホやPCの充電に不自由は感じません。夏場はサーキュレーターなどが使えて便利です。個人的には車載冷蔵庫を使ったりもします。
ただ、人は贅沢を知るとさらに欲が出てきます。
もっと電気を使いたい!
アウトドアで多くの電気を使うには
そんなわけで、今回は考察記事となります。
補足
この記事の便宜上、バッテリーやインバーターなどの部品を組み合わせて自作する電力供給方法をサブバッテリーシステム。あらかじめ組みあがった既製品をポータブル電源と表現しています。
バッテリーとインバーターを持ち歩けばポータブル電源と呼べますし、逆にポータブル電源(既製の電力供給システム)をキャンピングカーなどで電装品の電源にすればサブバッテリーシステムと呼べます。
この記事は、電力の供給方法を既製品にするか、市販された部品を組んで自作するかを検討する考察記事です。
また、ポータブル電源に内蔵されたバッテリーを含め、バッテリーはリン酸リチウムイオンバッテリーを指します。
真っ先に思いついたのは大容量のポータブル電源を追加購入です。
電源の追加導入に際しては、IH器具、ドライヤーなどの使用も想定して、1200W以上の定格出力ができるようにもしたいと考えました。
500Whクラスのポータブル電源では1200W以上の出力ができるものはまずありません。
ま、当然といえば当然。500Whの容量で1200Wを出力すれば20分程で電力が底を尽きます。そんなポータブル電源に需要は無いでしょう。
定格出力1200W以上を求めると、少なくとも1000Whクラス以上のポータブル電源を選ぶことになります。
この記事を執筆している時点で条件を満たすポータブル電源の相場価格は7万円~といったところです。
価格のほかに気にかかるのは設置スペースです。
私は軽自動車を利用していますが、軽自動車にとって1000Whクラスのポータブル電源は荷室でそれなりの存在感を放ちます。狭い荷室をポータブル電源に占有されるのは避けたいところです。
そこで次に考えたのはキャンピングカーなどに搭載された俗に言うサブバッテリーシステムです。
蓄電用バッテリーや、バッテリーからの出力装置(インバーター)を個別に組み合わせて配線を通すことで、車内のデッドスペースなどに電力供給システムを作ることができます。
ポータブル電源の中身を分解して使うイメージです。
1000Whの容量と出力1200W以上を条件として、最低限必要となる部品でバッテリー、インバーター、充電器をそろえると7万円~といったところでしょうか。費用的にはポータブル電源と変わりませんが、各部品の設置を工夫することで車内の無駄なスペースを無くせます。
個人的には、形状が固定のポータブル電源に合わせて車内のレイアウトを考えるより、車内のスペースに合わせて部品の配置を自由にできるサブバッテリーシステムにメリットを感じました。
バッテリーの充電方法
ひとまずサブバッテリーシステムを構築するとして、バッテリーを充電する方法について検討が必要となります。
家庭用コンセント100Vから専用の充電器を使う場合、1000Whのバッテリーを充電する時間は約2時間程度です。
電力 (W) = 電圧 (V) × 電流 (A)
1時間あたりの電力が100V × 5A = 500Wとなるので1000Wの充電には2時間となる計算です。
家庭用コンセント100Vから専用の充電器を使う充電方法が最も簡単で費用を抑えることができるのですが、充電の都度、10キロ程のバッテリーを持ち運ぶ手間と、サブバッテリーシステムからバッテリーを切り離す手間を考えるとあまり実用的ではありません。
屋内から延長コードでサブバッテリーシステムに100Vの電源を引き込む方法もありますが、いずれにしても充電の度にひと手間かかります。
車に常設しておきたい電源なのでポータブル電源であってもサブバッテリーシステムであっても、充電という作業を意識的に行わないといけないのはストレスになります。
やはり車内常設の電源システムは充電を意識せずに充電したい。
私の場合、現状は500Whのポータブル電源をシガーソケットからの給電で運用しています。ポータブル電源に付属していたシガーソケットからの充電器なので、おそらく60W(12V×5A)でバッテリー残量0から満充電に8時間の充電能力だと思います。
1回のキャンプで電気を使い切っても、日常生活で車を走らせるので気が付けば満充電になっています。家に持ち込んで家庭用コンセント100Vで充電することは皆無です。
1000Whのバッテリーも同じ方法で運用しようと考えたのですが、シガーソケットから1000Whのバッテリーに充電できる充電器が市販の既製品では見つけることができませんでした。
もともと持っていた車のメインバッテリー(鉛バッテリー)を充電するための充電器を使うことを検討しましたが、鉛バッテリー用の充電器には過充電を防ぐためにバッテリーの電圧が一定値に達すると給電を止める機能があります。
リン酸リチウムイオンバッテリーの満充電時の電圧は13.3Vほど。これに対して鉛バッテリーの満充電時の電圧は12.6Vほどとなるため、鉛バッテリー用の充電器でリン酸リチウムイオンバッテリーを充電しても満充電になる前に充電器が止まります。
そこで、シガーソケット→インバーター→専用充電器→バッテリーという充電方法を検討してみました。
結論から言うと微妙。
あくまで机上の話ですが、500Wで充電できる専用充電器でも、シガーソケットからインバーターを介して電気を取る以上は120W(12V×10A)以上の充電はできません。500W以上の出力が可能なインバーターが在りますが、そもそもシガーソケットからの給電が120Wなので仮に500W出せるとすればシガーソケットの配線には40A以上の電流が流れることになって確実にヒューズが切れます。
必要な部品が増える上に、専用充電器を使っても120W程度(最大性能の25%程度)でしか充電ができないのでは納得がいきません。
専用バッテリーを最大性能で使うには500Wの出力が可能なインバーターをメインバッテリーに直接繋いで電力を得る必要があります。(ポータブル電源の充電を早くするにはこの方法になります)
こうなってくると、インバーターと充電器の機能を兼ねた走行充電器を検討してもいいのでは?と思えてきます。
家庭用コンセントから給電する専用充電器であれば、車内でも屋内でも使えるという汎用性も考えましたが、車内で使うにはインバーターが必要なことと、わざわざバッテリーを屋内で充電する状況が思いつかなかったので見送ることにしました。
シガーソケット→インバーター→専用充電器→バッテリーの組み合わせは、充電時間が長くなる点に目をつむれば車内で最も簡単にサブバッテリーを充電する方法だと思います。
走行充電器
家庭用コンセントから給電する専用充電器に対して、走行充電器は車のバッテリーから給電する専用充電器といったところです。
12V40A(480W)で給電できる走行充電器であれば、100V用専用充電器と同等の充電速度です。12V20A(240W)などのモデルもあるので、予算に応じて選べます。
走行充電器はメインバッテリーから配線を引く必要があるため、電気配線の勉強が必要になることと、工具や部材の購入が必要になります。
私の場合、充電システムは安価で簡単にできるけど充電速度の遅いシステムと、費用と初期設置の手間がかかるけど充電速度の速いシステムを天秤にかけて、費用と手間をかけることにしました。
考察結果
この記事にたどり着いた方の中には、既製のポータブル電源を買う方が良いのか。自分でサブバッテリーシステムを組み上げた方が良いのか。迷っている方もいるのではないかと思います。
費用面で考えるとポータブル電源もサブバッテリーシステムも大きな差はありません。(2024年11月現在)
あくまで個人の見解ですが、ポータブル電源が市場に出回るより前に、キャンピングカーなどで大容量の電気を使うために生まれたサブバッテリーシステムが、誰でも簡単に使える電源システムとしてポータブル電源へと変化してきたのではないかと思っています。
2019年に購入したポータブル電源は500Whで5万円でしたが、同等製品を今では半額に近い価格で買うことができます。
誰でも使いやすいポータブル電源の方がサブバッテリーシステムより需要があるので安価になると思いますが、サブバッテリーシステムには自分で部品を組んで作り上げるという楽しさがあります。
まとめ
- アウトドアで電気を使うという一点に目的を置くならポータブル電源がお勧めです
- 自作することを楽しめる方にはサブバッテリーシステムがお勧めです
サブバッテリーシステムを作るために選んだ部品
初めてのサブバッテリーシステムはLi Timeの製品で組むことにしました。
部品を同一メーカーでそろえることができる安心感と、定期的なセールで安価に買いそろえることができたのが決め手です。
2024年11月にLi Timeの公式ページで行われたセールで買いそろえた時の価格は次のとおりです。
- 12v100AhバッテリーBluetooth 38,129円(税込)
- 12V2000W インバーター 21,723円(税込)
- 12V 40A走行充電器(MPPT付) 15,809円(税込)
Bluetoothによりスマホでバッテリー情報を確認できるモデルにしました。
当然Bluetooth無しのモデルより高くなるのですが、バッテリー情報を見るためのモニタを追加購入しなくていいことや、モニタを設置するための配線(回路)を考えなくて済みます。
記事の中でも書きましたが、100V電源から充電をする場合は、走行充電器の代わりに専用充電器を購入するといいです。
専用充電器で家庭用100Vからの充電を選択した場合、初期費用は他にかかりません。
繰り返しの説明になりますが、車内で専用充電器を使う場合は、インバーターが必要で高速に充電したい場合はメインバッテリーとインバーターを繋ぐ配線が必要です。ここまでするなら走行充電器を設置した方がいいと思います。
走行充電器での充電を選択した場合は、配線のための部材などを購入する必要がでてきます。この辺りは配線方法などにより変動する費用となってきます。
大電流を流すためのケーブルなどは思いのほか高いです。
自作したシステムの安全性を高めるためにもヒューズもいくつか必要になります。
2000Wの出力が可能なインバーターを使う場合は、200Aのヒューズをつけることで安全性が高まります。
ショートしてしまった時に走行充電器やバッテリーへのダメージを回避するには50Aや60Aのヒューズも必要です。
他にもケーブル端子など細かい部材も必要になります。
サブバッテリーシステムを自分で組む場合は、意外と部材の費用が積み重なっていくことを覚えておきましょう。