ポータブル電源の落とし穴:レジャー用ポータブル電源と災害時非常電源は分けて考えるべき理由
最初に
ここで表記するポータブル電源は、100Vコンセントプラグの家電が使える機器を指します。
スマホなどを充電するモバイルバッテリー(USB出力)とは区別をしています。
災害時、情報入手や連絡手段としてスマホ等の通信機器の電源を確保するためにモバイルバッテリーは必須ですが、モバイルバッテリーの他に、100Vコンセントプラグの家電が使えるポータブル電源がどこまで必要なのか?についての記事です。
災害時の非常用電源としてポータブル電源が普及していますが、個人的には災害時には電気を必要としない備えこそが大事だと考えています。
ポータブル電源を購入する際に、家族に「災害時でも使えるから」を説得文句に使うのはいいと思いますが、災害時にポータブル電源を活用するためには押さえておくべきポイントがあります。
電力を何に使う?被災時につかいたい電力量は?
普段家庭で消費している電気量は1日6000Wほどと言われています。
- エアコン:0.8kW × 5時間 = 4kWh
- 冷蔵庫:0.1kW × 24時間 = 2.4kWh
- 照明:0.01kW/個 × 10個 × 5時間 = 0.5kWh
- パソコン:0.1kW × 5時間 = 0.5kWh
- テレビ:0.1kW × 3時間 = 0.3kWh
- 電子レンジ:1kW × 0.17時間 = 0.17kWh
- 炊飯器:0.5kW × 0.17時間 = 0.085kWh
- 洗濯機:0.5kW × 0.17時間 = 0.085kWh
ポータブル電源を準備していても無限に電気が使えるわけではありません。有限であることを前提に、どの家電がどのぐらいの電気を必要とするのか把握しておく必要があります。
どの家電をどのぐらい使うかはそれぞれだと思うので、仮定として災害時は節電をして1日3000Wの電力を使うとします。蓄電容量3000W以上のポータブル電源は20万円~です。
20万円の設備投資で使いたい家電の1日分の電力を賄えるという計算になります。
充電問題
さて、次に考えておきたいポイントは被災時に家電を1日使えれば十分なのか?
想定する災害が台風などで局所的に発生した停電であれば概ね数時間で復旧するので、3000Wの蓄電で十分だと思います。
しかし、地震などの場合は数日停電が続くことがあり、3000Wの蓄電では1日しか家電を使えません。
数日間の停電を想定すると蓄電容量3000Wでも電力が不足することになります。
そこで充電を考えるわけですが、被災時の発電方法は限られてきます。
ひとまず、ソーラー発電で蓄電を考えていきましょう。
3000Wの蓄電をソーラー発電で行うには、晴天時、日照時間6時間と仮定して、500Wh以上の発電能力が必要になります。
100Whのソーラーパネルが1万円程なので、5万円ほどの投資が必要になります。
蓄電容量3000Wのポータブル電源と発電力500Wh以上のソーラー発電を選ぶと、設備投資は30万円~といったところでしょうか。
ポータブル電源は思っている以上に重い
そして、意外と見落としがちなポイントは、大容量のポータブル電源は重たいということです。
蓄電容量3000Wのポータブル電源の重量は15キロほどになります。
持ち運べない重さではありませんが、モバイル(携帯)できるとは言い難い物となってきます。
極端な例ですが、被災して自宅で過ごすことが困難な状況になったとき、避難所に15キロのポータブル電源を持ち運ぶのか?という疑念と、自宅から離れて大電力を使う機器があるのか?という疑念が生じます。
冒頭にも書きましたが、被災時の通信手段や照明器具のための電力はモバイルバッテリーで十分です。
まとめ
アウトドアレジャーでちょっと家電を使うためであれば、ポータブル電源の蓄電容量は1000Wもあれば十分です。
しかし、蓄電容量1000W程度のポータブル電源は災害時に生活のための電力を賄うには力不足です。
逆に、災害時の実用に耐えうるポータブル電源となると2000W以上の蓄電容量が求められますが、アウトドアレジャーでちょっと使うには設備投資額も高く、持ち運びにも不便になってきます。
大容量のポータブル電源が活躍する状況は、はあくまでも被災時に自宅で過ごせる(大電力を必要とする家電が使える)状況が大前提になってきます。
アウトドアレジャーでも災害時でも使えるポータブル電源を探そうとすると、蓄電容量1000W~3000Wのあいだで悩むことになると思いますが、アウトドアレジャーで使うポータブル電源と、災害時の電源確保は割り切って別に考えましょう。
アウトドアレジャーは500W~1000W未満のポータブル電源。
災害時の備えは、据え置きで蓄電容量2000W以上のポータブル電源とソーラー発電の併用。
無駄な出費(投資)は押さえたいから、どのポータブル電源を選ぶかで悩むと思いますが、悩んだ結果「帯に短し襷に長し」にならないように気を付けましょう。
しつこいですが、個人的には災害時を想定した電源確保の備えは投資に見合うだけのメリットが見出しにくいと考えてます。