キャンピングカーのタンク水は飲める?沸騰や浄水器で衛生面は安心できるのか?
キャンピングカーでの快適な旅に欠かせない給水タンクの水。この水を飲用水として利用できるのか、それとも生活用水に限定すべきか、多くの方が疑問に感じる点です。

結論から言うと、キャンピングカーのタンク水は、飲用や調理に使用することは避け、市販のペットボトル水や、専用の清潔なウォータージャグで分離して管理することが、最も安全な方法となりそうです。
この記事では、なぜタンク水が飲用に適さないのか考察しています。
目次
タンク水が飲用に適さない構造的なリスク
キャンピングカーの給水システムは、一般家庭の水道管とは異なり、定期的に完全な水抜きや清掃が行われていない場合が多く、衛生上のリスクが高くなります。
細菌の温床となる「汚れ」のリスク
- 配管内部のバイオフィルム: タンクから蛇口までのホースやポンプ内部は、水の滞留や高温化により、目に見えないヌメリ(バイオフィルム)が形成されやすい環境です。このヌメリは細菌の温床であり、そこから剥がれたカスが水中に混入します。
- 清掃の限界: タンクの清掃は可能ですが、ホースやポンプ内部まで完全にブラシで洗浄・殺菌するのは困難です。これらの配管を経由した水を飲用するのは抵抗があります。
- カビや水垢: タンク内部は完全に乾燥・殺菌することが難しいため、ぬめりやカビが発生しやすい環境となります。
有害な「不純物」のリスク
- 有害物質の溶出: タンクやホースの材質によっては、経年劣化により、微細なプラスチック粒子や化学物質が水に溶け出している可能性があります。
- 金属(サビ): ポンプや配管の金属部分からサビなどの金属成分が溶出する可能性があります。
短い「飲用可能期間」
- 水道水に含まれる残留塩素が雑菌の繁殖を抑えていますが、これは時間とともに減少します。キャンピングカーのタンクは常温または高温になりやすく、塩素が早く失われます。
- 安全性を最優先に考えると、タンクに補充した水は、数時間からせいぜい1日程度で生活用水として使い切ることを目安とし、飲用には利用しない方が賢明です。一般的な水道水の汲み置きでさえ、清潔な容器でも常温で3日程度が目安とされています。
対策の限界:沸騰の落とし穴
沸騰(煮沸消毒)の限界
水を沸騰させることで、大半の細菌や病原体は殺菌できます。通常、沸騰させてから1分以上加熱すれば、水中の病原性微生物(細菌やウイルス)は死滅させることができます。
しかし、以下の理由から、飲用水としての利用は推奨されていません。
沸騰はあくまで「殺菌」であり、水に含まれる不純物を除去することはできません。カビの残骸、配管から溶け出した成分(サビなど)は除去されず、異臭や不快感の原因となります。
最後の砦、浄水器
浄水器を取り付けることは、細菌以外の不純物を除去するために非常に有効であり、水質の向上に大きく貢献します。特に高性能な浄水器は、味や匂いを大幅に改善できます。孔径が非常に小さいフィルターであれば、細菌や原生動物の胞子などの微生物も除去可能です。
しかし、キャンピングカーの蛇口は特殊な形状が多く、一般的な浄水器の取り付けが困難なケースが多いです。また、シンクに収まりよく収納できる構造の蛇口に浄水器を取り付けることで収納が困難になるケースもあります。
正直なところ、そこまでして給水タンクの水を飲用可能にする必要があるのか?という疑問が生じます。
結論:最も賢明な運用方法
キャンピングカーのタンク水は、手洗いや食器洗い用として使用することが無難なようです。
飲用水や調理用水はペットボトルの水が最適解となりそうです。
個人的には日本の水質基準は高いと思っていて、水道水を飲用することに抵抗はありません。キャンプでもウォーターバッグに水道水を入れて飲用水や調理用水として使っています。
キャンピングカーであればペットボトルやウォーターバッグは冷蔵庫に保管することができるので、水タンクのため水より保管期間を長くすることもできます。
少し余談ですが、長期旅を想定すると、給水はスーパーなどに設置されているApure(アピュア)などの自動販売機を利用するとお得になりそうです。ペットボトルが溜まっていくゴミ問題も回避できます。